ランニング初心者がケガすること無く続けるコツ

ランニング初心者の9割が怪我を経験しています。ランニング以外のスポーツでも怪我はあるのですが、その質に違いがあります。どのように違うかわかりますか?

 

それは、外傷故障かという違いがあります。

 

ランニング以外のスポーツの場合、その多くは打撲・骨折・切り傷・擦り傷といった外傷です。それに対してランニングはカラダの使いすぎや間違ったカラダの使い方による故障なのです。考え方を変えれば防ぐことができる怪我なのです。

 

そこで、怪我をすることなくランニングを続ける為に必要な考え方についてお伝えしようと思います。

 

ランニングは下半身で走るものではない

カラダと地面が接する部分は「足」です。そして、故障する箇所も下半身が多いので、ランニングは下半身で走るものというイメージがとても強いです。しかし、ランニングは上半身の使い方が9割です。

 

体幹が弱く前傾姿勢ができないから下半身を使ってしまいます。肩甲骨を使った腕振りがうまくできないから下半身を使ってしまいます。その結果、下半身の筋力がどんどんついていきます。上半身より下半身をより使うようになります。よく使う箇所は運動神経が発達していき使いやすくなります。脳は使いやすい下半身を使うようになります。そしてさらに下半身の筋力が付き、運動神経も発達していくのです。

 

その結果、本来、上半身がやるべきことを、下半身が頑張ってやってしまっているのです。無理をしている状態です。無理をして仕事を続けていたら体調を崩してしまいますよね。それと同じで、下半身が無理をした結果、故障をしてしまうのです。

 

しかし、これは意識をすることで改善することができます。上半身を意識して使うことで、運動神経が発達していきます。そして、使うことで筋力が付いていきます。これを繰り返していくことで、上半身が使いやすいカラダに変わっていきます。

 

体幹が弱く、前傾姿勢ができないとカラダよりも前に足を着いて、太ももの前を使って進むことになります。太ももの前が痛くなるのは前傾姿勢ができていないということです。体幹が強く前傾姿勢ができるようになると、体重移動で前に進んでいきます。重心の真下で足を着くようになります。重心の真下で着くと、太ももの前は使わなくなります。

 

肩甲骨は、ストライドの幅やピッチの速さなどランニングのスピードをコントロールしています。肩甲骨が動くことで骨盤が動きます。この骨盤の動きが大きくなればストライドが広がり、速くなればピッチが上がります。肩甲骨が動かないと骨盤が動かないので、これらのコントロールは全て足を使うことになります。ストライドを広げるために足首を使って蹴り上げるようになりふくらはぎに負担がかかり、前に進む為に太ももの前にも負担がかかります。

 

速く走っても速く走れるようになるわけではない

ランニングにおける速さとは、根本的な速さも必要ですが、その速さをいかに長い時間維持できるかということが重要です。

100mを1秒縮めるだけの練習をしても、42.195kmを7分、縮めることはできません。

「42195m ÷ 100m ÷ 60秒 ≒ 7分」とはならない。

 

運動能力向上やトップスピードをあげる為に100mの練習をしたり、インターバル走のように全力に近い速いペースで走ることも必要ですが、それだけでは速く走る事はできません。

なぜなら、ゆっくり長く走る事で「遅筋の発達」「毛細血管の発達」「脂質代謝能力の向上」の効果があり、持久力を高めることができるからです。

 

速いペースで走ることはカラダへの負担も大きくなります。ある程度の負荷をかけなければ鍛えることはできませんが、速いペースばかりで走っていてはオーバーワークとなり怪我をするリスクが高くなります。怪我をしてしまってはそこまで実施してきた練習も水の泡ですよね。ゆっくりペースで走ることはカラダへの負担を減らすことができるだけでなく、結果的に速く走るために必要な要素を鍛えることになります。さらに、ゆっくり走る事で全身の疲労物質を流す効果もあり、疲労回復にもなります。

 

どちらの練習も大切です。バランスよく実施することがランニングを長く楽しく続けために重要なことなのです。

 

毎日走っても長く走れるようにはならない

日本人は真面目なため、頑張れば頑張るほど結果が出るはずだと、追い込みすぎてしまう人が多くいます。やらないよりはやったほうが絶対に結果は出ます。だから、頑張っている人には結果を出してほしいと思っています。だからこそお伝えしたいこととしては、カラダを休めることもトレーニングのうちであるということです。

 

疲れている状態で練習をしても効果が薄く、前項でもお伝えしたように怪我をするリスクが高まります。また、負荷をかけたカラダは休むことで超回復し走力がアップします。その回復する時間をしっかりとることも重要です。それでも、カラダを動かしたいという方は、疲れていない箇所の筋力トレーニングや、ストレッチをしてみてはいかがでしょうか?時間が取れずいつも走るだけで終わってしまうという方にとっては、筋力アップと筋肉の柔軟性は有効な補強になると思います。

 

何事もやりすぎはよくないですよね。頑張りすぎな方は、休足日を作ってみてはいかがでしょうか?

 

つま先で着地しても速く走れない

トップ選手の走り方を見ると、つま先で着地している選手が多く、ドラマの影響などもあり、速く走るためにつま先着地に変えようとする方がいらっしゃいます。しかし、着地の仕方をつま先着地にするだけでは、速く走る事はできません。そればかりか、ふくらはぎを故障する原因に繋がります。

 

着地の仕方は結果でしかないのです。前項でお伝えしましたが、上半身をしっかり使い、前傾姿勢が取れるようになると、重心の真下で足を着くようになります。真下で着くのにかかとで着こうとするととても大変です。つま先だと着きやすくなります。前傾姿勢が取れ、重心の真下で足が着くようになった結果としてつま先着地になるのです。

 

着地の仕方を変えるのではなく、着地の仕方を確認し、前傾姿勢ができているか、上半身が使えているかということを感じながら走る事が大切なことです。

 

後半になると足が痛くなるのは足の筋力が不足しているからではない

フルマラソンで30kmの壁という言葉を耳にします。フルマラソンを走らない方でも、後半になると足が痛くなったり疲れてきたりして走れなくなり、足の筋力不足を感じている方は多いのではないでしょうか?筋力をつけることも大事なことですが、その前にやるべきことがあります。

 

それは、今持っている能力をすべて引き出すということです。

 

使えている筋肉を鍛えて筋力をアップするより、使えていない筋肉の方がはるかに筋力は多く、更に鍛えるよりも使えるようにするほうが早いはずです。その為にも、使えていない筋肉を使えるようにする必要があります。使えるようになってから筋肉を鍛えることで、よりパフォーマンスを向上させることができるのです。

 

ランニングでの怪我の多くは故障、すなわち過負荷によるものです。正しいカラダの使い方をして、使いすぎることがなければ防ぐことができます。

 

怪我をすることなく安心して長くランニングを続ける為にも、一度、走り方を学んでみませんか?