ランニングの上達は上半身の使い方が9割

ランニングでの悩みごとの多くは膝や太ももの痛みやケガです。そして、地面に唯一接していることもあり、下半身に注目してしまいます。ケガをしないように、最後まで走れるようにするため下半身を鍛えようとなるわけです。その結果、疲労が蓄積し回復が間に合わなくなり、ランニング初心者の9割がケガをしてしまうのです。

 

ランニングでケガをせず、パフォーマンスを上げる為には下半身よりも上半身を鍛え、意識して使えるようにすることが必要です。

 

目次

1. 他のスポーツとのケガの種類の違い

2. 足の動きは腕がコントロールしている

3. 前傾姿勢で進む為には上半身の体幹が必要

 

1.他のスポーツとのケガの種類の違い

 

 

 

他のスポーツにも故障によるケガはありますが、外傷によるものが多いのです。しかし、ランニングでのケガの多くは故障によるものなのです。

 

 

故障する原因はオーバーワークです。

 

 

量的な要素としては、頑張れば頑張っただけ結果が出ると練習をしすぎてしまうことが挙げられます。まだまだ根性論の考え方が多く、真面目な人ほど故障するリスクが高くなります。

 

 

質的な要素としては、ランニングは足で走るものという考えが強いということです。確かに、地面と接しているのは足ですし、一番動いている箇所も足なので、注目してしまいがちです。その為、足に頼った走り方になり、負荷に耐えられなくなり故障してしまうのです。

 

 

そして、その故障は足の筋力不足だと思い込み、筋力トレーニングにて筋肉を鍛えようとします。筋力トレーニングも必要ですが、闇雲に行ってしまっては、筋肉の柔軟性を奪い、関節の可動域を狭くしパフォーマンスを落としてしまいます。落ちたパフォーマンスを上げようとさらにきつい筋力トレーニングや練習をするという悪循環が繰り返す故障の原因なのです。

 

 

2.足の動きは腕がコントロールしている

 

 

 

腕振りがなぜ大事かわかりますか?

 

 

それは、腕が足の動きをコントロールしているからです。

 

 

実際にやってみましょう。

 

 

その場で、腕を動かさずに足だけで速くもも上げしてください。ももは高く上げなくて構いません。その状態で腕振りをゆっくり行ってみてください。足は速く動いて、腕はゆっくり動いているという状態になります。

 

 

では、その逆はどうでしょう。足だけゆっくりもも上げします。その状態で腕振りを速く行ってみてください。足もつられて速く動いてしまいます。腕で足をコントロールしているのです。

 

 

ちょっとペースが落ちてきたからスピードを上げよう、上り坂だからスピードを上げようという時、どうしても足に力が入ってしまいますよね。しかしそんな時、足の力の入れ方は変えずに、腕振りを少し大きくしてみたり、速くしてみたりすることで、足に力を入れなくても自然と動くようになります。

 

 

実際には腕ではなく肩甲骨が動いているのですが、肩甲骨が動くと骨盤が動きます。骨盤の動きによって足が動くようになります。足の筋肉は使っていませんよね。しかし、足だけで走ろうとすると、この動きの為に筋肉を使うので疲れてしまいます。そして、疲れが蓄積し故障してしまうということなのです。

 

 

3.前傾姿勢で進む為には上半身の体幹が必要

 

 

 

真っ直ぐに立ってそのまま前に倒れていくと、自然と足が出ます。これを繰り返して進んでいくことで、下半身は着地の衝撃に耐えられる筋力だけあればよいということになります。あくまでも理論上の話しですので、実際には進む際にも筋力は使うのですが、進む為に使う足の筋力は少なくて済みます。腕振りの話しと同じですね。

 

 

しかし、この前傾姿勢を維持し続ける必要があります。そして、この前傾姿勢を維持するためには体幹が必要になります。体幹が弱いと猫背になり、前傾姿勢ではなく腰から曲がった前かがみになってしまいます。すると、腰が落ち、太ももの前を使って進む走り方になってしまいます。「腰が落ちてる」というのは、体幹が使えず前傾姿勢が取れていないため、足に頼った走り方になっているということを言っているのです。

 

 

こうなってしまうと、あとは時間の問題で、太ももの前の筋肉が疲労しきってしまい痛くて走れなくなってしまうのです。

 

 

脳はカラダを効率的に使おうとします。ここでいう効率的というのはあくまでも脳が使いやすいという意味です。字を書くとき、右利きの人が右で書くときは「字を書く」ということ自体は意識しないと思います。でも、左で書こうとしたときは「ペンをこの指とこの指で挟んで」「このくらいの力を入れて」「手首もこうやって動かして」と字を書くための動きを分解して一つ一つ意識しながら行いますよね。

 

 

しかし、そのうち動かし方がわかってくると左でも意識せずにかけるようになっていきます。これは、運動神経が発達したからです。ただ、普通はわざわざ左で字を書く練習なんてしないですよね。字が書ければいいわけで、それは使いやすい右で書けばいいわけですから。

 

 

しかし、ランニングの場合はそうはいきません。脳にとっては下半身だけで走るほうが効率が良いのかもしれませんが、走という動きからするととても効率が悪いのです。

 

 

効率のよい走り方とは、足の筋肉を使わずに前に進むということです。その為に、体幹を使って前傾姿勢、肩甲骨を動かし骨盤を動かす腕振りを意識して行う必要があります。はじめは、違和感があり走るペースも遅くなってしまうかもしれません。しかし、意識して繰り返して行うことで、無意識でもできるようになり、自然と筋肉が付いてきます。利き手の方が筋肉が付いているのはよく使うからですよね。

 

 

ランニングは上半身の使い方が9割です。

今のまま足の故障のリスクを抱えながら続けていてはパフォーマンスも向上していきません。

上半身を意識し、足に負担がかからない「足にやさしい走り方」に変えていきましょう。